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令和3年度日本応用地質学会中国四国支部研究発表会 新人賞

令和3年10月29日に実施されました「日本応用地質学会中国四国支部令和3年度研究発表会」において、「地下水の季節的な水質汚濁と鉄との関係についての考察」で新人賞として表彰されましたので報告いたします。

<研究発表会概要>
日本応用地質学会(会員数:約2,000名)の中国四国支部により毎年1回開催されているもので、令和3年度はサンポート高松にて15名の研究発表があった。

<研究発表内容>
香川県北部に位置する対象地域では、平成28年に砂防堰堤工事が開始されて以降、工事箇所から比較的離れた下流井戸1箇所で、秋季に濁度や鉄等の溶存成分の値が異常的に上昇するという季節的な水質汚濁問題が生じた。工事との関連性や原因を把握するために、該当井戸やその周辺水源にて継続的な調査を実施した結果、水質汚濁は他の水源では認められない極局所的で周期的な現象であること、該当井戸に流入する地下水の水温と気温のピークに3ヶ月程度の乖離があること等が分かった。そのようなことを踏まえて水質汚濁のメカニズムについて検討していく中で、周辺に分布する水田が影響している可能性を考え、夏季の耕作時の湛水による酸化還元反応が鉄イオン濃度の上昇、水質汚濁の発生に起因しているのではないかという考察を得た。

<表彰理由>
山麓に広がる谷底平野の地下水において、毎年秋ごろに濁度・鉄・有機物濃度が上昇するという特異な水文地質現象を取り上げ、その原因に関する予察的な検討を行い、水田での季節的な湛水・排水による土壌中の鉄の酸化還元反応が影響した可能性を指摘している。この報告のような周期的な地下水質の悪化は、全国的に見てもきわめて特異な現象と考えられ、今後、水質悪化をもたらす水文地質学的な詳細な研究の進展が大きく期待される。なお、本発表は、発表者が日本応用地質学会に入会後、支部研究発表会での初の発表である。以上の点から、本業績は新人賞としてふさわしいと認められた。