令和5年12月2~3日に、愛媛大学農学部で開催された「日本甲虫学会第13回大会」において、「第13回日本甲虫学会 論文賞」を受賞し、同論文の受賞講演を行いました。
本論文は社内の「生産部門若手技術者における技術論文発表計画」で論文投稿・発表計画の対象としたものです。
<学会概要>
日本甲虫学会は昆虫綱コウチュウ目に属する種(例えばコガネムシやカミキリムシ等)を対象とした学会です。本学会は国内外の研究者等約730名が所属し、会誌として欧文誌「Elytra, New Series」と和文誌「さやばね ニューシリーズ」を刊行しています。
<発表内容>
タイトル:Habitat characteristics of coast environments and leg morphology in the flightless supralittoral weevil Isonycholips gotoi (Coleoptera, Curculionidae)
発表内容:昆虫は様々な環境に適応しているが、海水に曝され、水位や温度変化の激しい海岸に適応した種は限られる。筆者らは、海岸性昆虫であるハマベゾウムシ(Isonycholips gotoi)の分布と海岸環境の関係、また、その特異的な脚の形態計測を行った。その結果、ハマベゾウムシの分布は海岸を構成する粒子のサイズに強く依存することが明らかになった。さらに、ハマベゾウムシの脚部脛節は基部よりも先端の方が太くなる特徴を持ち、これは砂浜上の歩行を容易に行う上で効果的な可能性が示唆された。本種は絶滅が危惧されており、本研究結果は、海岸性昆虫が海岸に適応できた要因解明やその保全に貢献できるかもしれない。
<表彰理由>
上記論文が欧文誌「Elytra, New Series」及び和文誌「さやばね ニューシリーズ」に掲載された論文中で最も優秀であることが認められたため。

